バイトを辞めたい奴に告ぐ、すぐ辞めろ

かくいう私は一時間前最後の勤務を終えてきたばかりなのだ。こどおじ、バイト退職。当たり前だろ。

平日は一限に出て九時間働き、休日は朝9時から夜9時までまるまる労働、他の日は授業に行っていた。

こんなこと人間はやっちゃいけない。私並みの、頭も悪く子供で腑抜けた甘ったれなら、尚更。

 

先月13日初めて精神科に行った際、そう、鬱病の診断が出なかったあの日、医者に言われた「バイトはシフトを減らすか辞めるかしろ」という旨の発言を踏まえ、次の出勤日に店の者に6月いっぱいで辞める意思を伝えた。

辞めて正解だったかどうかは、まだ一時間ではわからない。でもあの職場の年老いた陰険な労働者、品と金払いの悪い客の面を二度と拝まなくていいということはデカい。0か1で1だったのなら、辞めて良かったということになる。

 

バイトを辞めたことで、根源的な問題が解決するとはまったく思えなかった。何か、絶望に似た、喉に詰まるような、不安。どうしたらいいのか、何をして生きたらいいのか、これでいいのか、あれでよかったのか。下手な例えだが、ゴールが何キロ先かを伝えられない上コースも知らないマラソンみたいなものだ。私と言えば、他のランナーがいく方に走るだけ。

 

バイトは、最初、目の前で妨害してくる乗用車だと思った。黒煙を吐いて、止まったり動いたりして、こっちの調子を狂わせる。

しかし、あいつはじつは私に罵声を浴びせながら歩道を走る観客に過ぎなかった。彼をやっとの思いで怒鳴りつけて排除したところで、走る辛さと行先の不安はほとんど変わるところがない。なんならこの何ヶ月後、また金がない金がないと喘ぐかもしれぬ。

 

これはSNSなんかでリベラルみたいな論客が散々言い続けていることだが、学生のバイトははっきり言って時間の無駄である。東京都内の時給は平均値で1000円(これより低い人も山ほどあるだろう)と思うが、例えば私の通う私立大の講義は一コマ換算で3000円(100分)だ。

 

一時間の貴重な若い時間を千円で売ってしまうのはあまりにもったいなかろう。貯金なんて、もっと意味がない。生活に困ってない人間のすることだ。効率が悪すぎる。もっとも、卒業旅行でイギリスに行きたいとかFXの元手を作りたい、などと目的がある場合は全否定はできないが。

 

日本の最低賃金は、最高値の東京都で985円、最低値は複数の県で762円、よくよく考えてほしい、一時間働いたぶんをスロットに突っ込めばそれでおしまい、のお金と引き換えに若い貴重な一時間を売るのはどうなのか。本を読むも良し、友達と駄弁るも良し、思索に耽るも良し、ひたすら寝るも良し、私は、私個人は、若い時間をもっと楽しく意味のあるものにしたい。老いて疲れて保守的な店員たちの口喧嘩を聴きながら無心で袋にものを詰めるようなことは、脳が生きていて身体もまだまだ丈夫な若い人は、やるべきじゃない。

 

例えば、30歳未満の人間の最低賃金は、それ以上より少し高く設定する、なんていうのは、どうだろう。若い人間は年寄りと比べても労働効率がいいのは明らかだ。やらせるなら、若い時間を割くだけの代償は払っていただきたい。

 

若い人の体感時間と、老人の体感時間は、まったく違うそうな。無論前者は長い。ぼーっとルーティーンを過ごしていれば終わる人間と同額で働くのは、若い人間サイドから見れば気に食わない。

 

バイトを辞めたらどうするのかと聞く人があるだろう。親のすねを齧れとは、絶対に言えない。無責任すぎるし、そうできないから嫌だ嫌だと言いながらずるずる辛いバイトを続ける奴が大半だからだ。

 

いまのところ私の知識量では、時給のいいバイトを探してください、としか言えない。ギャンブルは、アレはダメです。金のない素人がやったら本当にマズイです。こないだ、競馬で一万すって、本当に馬鹿なことをしました。あの年老いた11番。遅いんじゃ、直線が。